当サイトでは、第三者配信の広告サービス(Googleアドセンス)を利用しております。
本記事の内容
- ベクトル場の法線面積分を理解し、例題を解く。
ベクトル場の法線面積分
ベクトル場 \( \bm{A}(x,y,z)\) と曲面 \(S\) を考えます。
曲面 \(S\) を \(N\) 個の微小な領域に分割し、各面積を \(\Delta S_i (1\geq i \geq N)\) 、その面上の点を \(Q_i\) とします。
微小な領域上でのベクトル場 \(\bm{A}(Q_i)\)の法線方向成分を \(A_n(Q_i)\)とし、その領域上では一定とします。
このとき、各ベクトル場の法線方向成分 \( A_n(Q_i) \) に面積 \(\Delta S_i\)をかけ、その和をとったものは以下で表されます。
$$ \sum_{i=1}^N A_n(Q_i) \Delta S_i\label{eq:1}\tag{1} $$
上式について、\(N\rightarrow \infty, \Delta S_i \rightarrow 0\) の極限をとったものを、曲面 \(S\) に関するベクトル場 \(\bm{A}(x,y,z)\) の法線面積分といい、以下で表されます。
$$ \int_S A_n(x,y,z) dS\label{eq:2-1}\tag{2-1} $$
ベクトル場 \(\bm{A}\) の法線方向成分 \(A_n\)は、単位法線ベクトル \(\bm{n}\) とベクトル場 \(\bm{A}\) の内積で表されるので、式 \eqref{eq:2-1} は以下で表現できます。
$$ \int_S \bm{A} \cdot \bm{n} dS \label{eq:2-2}\tag{2-2} $$
向きが法線方向、大きさが \(dS\) の面素ベクトル \(d\bm{S}=\bm{n}dS\) を用意すると、さらに簡潔に表されます。
$$ \int_S \bm{A} \cdot d\bm{S} \label{eq:2-3}\tag{2-3} $$
式 \eqref{eq:2-1}~\eqref{eq:2-3} は表現が異なりますが、値は等しく、ベクトル場の法線面積分を表します。
\(\bm{A}\) は 曲面上の点 \((x,y,z)\) に依存しますが、式 \eqref{eq:2-2}, \eqref{eq:2-3} では \((x,y,z)\) を省略しています。
\(z=g(x,y)\) で表される曲面の法線面積分
\(z=g(x,y)\)で表される曲面 \(S\) に関するベクトル場 \(\bm{A}(x,y,z)\) の法線面積分を求めてみましょう。
曲面 \(S\) 上に微小な面積 \(\Delta S\) をとり、それを \(xy\) 平面へ正射影した領域の面積が \(\Delta x \Delta y\)と表されるとします。
\(F = z - g(x,y)\) とおくと、その勾配 \(\nabla F\)は曲面の法線ベクトルを表し、以下で表されます。
単位法線ベクトル \(\bm{n}\) は、\(\bm{n}=\nabla F/|\nabla F|\) で与えられます。
正射影と面積の関係を用いると、\(dS = |\nabla F| dx dy\) が成り立つことがわかります。
したがって、求める法線面積分は以下で表されます。
ただし、 \(S_1\) は曲面 \(S\) を \(xy\) 平面に正射影した領域を表します。
例題
三角形 \(x+y+z=1 (0\leq x,y,z\leq 1)\) を \(S\) とする。このとき、ベクトル場 \(\bm{A} = (0,y^2,z)\) の \(S\) に関する法線面積分を求めよ。
参考文献
- 安達忠次(1961)『ベクトル解析』培風館
- みつのきチャンネル"【面積分(ベクトル場)】導出から例題まで!【数学 ベクトル解析 Surface integrals】" Youtube <https://youtu.be/6G6SXaJURxA>(参照日:2021年9月18日)