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本記事の内容
- 平面に含まれる図形と、それを別の平面に正射影した図形の面積の関係を理解する。
- 上記の性質の証明を理解する。
正射影と面積
平面 \(P\) に含まれる面積 \(S\) の図形を、平面 \(Q\) に正射影した図形の面積を \(S'\) とします。
そのとき、平面 \(P,Q\) のなす角を \(\theta\) とすると、以下が成立します。
$$ S' = S \cos{\theta}\label{eq:1}\tag{1}$$
また、一般的な曲面に含まれる面積 \(\Delta S\) の微小な領域と、その \(xy\) 平面への正射影について、その面積を \(\Delta x \Delta y\) とすると、
$$ \Delta x \Delta y = \Delta S\cos{\theta} \label{eq:2}\tag{2}$$
が成立します。ただし、 \(\theta\) は曲面の微小な領域における法線ベクトルと \(z\) 軸とのなす角を表します。
証明
平面に関して成り立つ式 \eqref{eq:1} は、微小な領域について成り立つ式 \eqref{eq:2} を用いることで容易に導くことができます。
したがって、以下では式 \eqref{eq:2} の証明を行います。
上図のように、上面が曲面 \(z=g(x,y)\) に含まれる微小な領域、底面がその \(xy\) 平面への正射影となるような微小な立体を考えます。このとき、側面は \(z\) 軸に平行になっています。
上面の各辺のベクトルを \(\bm{r}_1, \bm{r}_2\) とおくと、それぞれ以下で表されます。
ベクトル \(\bm{r}_1, \bm{r}_2\) の外積 \(\bm{r}_1 \times \bm{r}_2\) は以下で与えられます。
\(\Delta x, \Delta y \rightarrow 0\) の極限を考えることで、
が得られます。
\(F = z - g(x,y)\)としてその勾配を考えると、 $$\nabla F = \left(-\frac{\partial g}{\partial x}, -\frac{\partial g}{\partial y}, 1\right)$$ となり、法線ベクトルに相当します。
外積の向きは法線ベクトル \(\bm{n}\) に平行で、大きさは上面の面積 \(\Delta S\) に等しく、
と表されます。
ここで、 曲面の微小な領域における法線ベクトルと \(z\) 軸とのなす角を \( \theta\) と表します。
法線ベクトルと \(z\) 軸方向の単位ベクトル \((0,0,1)\) との内積を考えることで、以下が得られます。
したがって、上面の面積 \(\Delta S\) と底面の面積 \(\Delta x \Delta y\) について、以下の関係が成立します。
$$\Delta x \Delta y = \Delta S\cos{\theta}$$
よって、式 \eqref{eq:2} が示されました。
曲面が平面である場合、法線ベクトルの向きは平面上ですべて同じ向きになり、\(\theta\) は場所によらず一定となります。
平面 \(P\) の一部の領域を \(P_1\) とし、その面積を \(S\) 、\(xy\) 平面への正射影を領域 \(Q_1\)とし、その面積を \(S'\) とすると、面積分を考えることで
$$ S' = \int_{Q_1} dx dy = \int_{P_1} \cos{\theta}dS = \cos{\theta} \int_{P_1}dS = S\cos{\theta} $$
が成立します。
よって、式 \eqref{eq:1} も示されました。
参考文献
- 安達忠次(1961)『ベクトル解析』培風館
- 「四平方の定理(図形の面積と正射影)」学びTimes <https://manabitimes.jp/math/1003> (参照日:2021年9月15日)