電気回路

ノートンの定理とは?[証明・例題つき]

2021年8月12日

当サイトでは、第三者配信の広告サービス(Googleアドセンス)を利用しております。

本記事の内容

  • ノートンの定理が使えるようになる
  • ノートンの定理の証明を理解する

ノートンの定理による等価回路の作り方

ノートンの定理は簡潔に言うと、「回路上の任意の2端子を選んだ時、その間の短絡電流内部抵抗を用いて等価電流源を構成できる」というものです。

図で説明します。

内部に電源(電圧源や電流源)を含む回路網を \(N_0\)、含まない回路網を \(N\) とします。

\(N_0\) と \(N\) は、端子 \(a,b\) で接続された状態です。

このとき、\(N_0\) の電圧源を短絡、電流源を開放したときの開放コンダクタンスを \(G_0\)、 端子 \(a,b\) を短絡した時の \(N_0\) の短絡電流を \(J_0\)とおきます。

すると、\(N_0\)は電流 \(J_0\) の理想電流源と内部コンダクタンス \(G_0\) で構成される電圧源と等価になります。

〈関連記事〉

テブナンの定理は、こちらの記事で解説しています。
テブナンの定理とは?使い方・証明を詳解[例題つき]

【例題1】ノートンの定理

下図の回路にノートンの定理を適用し、等価電流源を求めたうえで、抵抗 \(R\) に流れる電流 \(I\) を計算してみましょう。

端子 \(a,b\) の短絡電流 \(J_0\) は以下で与えられます。

$$J_0 = \frac{E_1}{R_1} + \frac{E_2}{R_2}$$

開放コンダクタンス\(G_0 (= 1/R_0)\) は

$$G_0 = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2}$$

したがって、ノートンの定理より以下の等価電流源を描くことができ、求める電流 \(I\) は

$$I = \frac{\frac{1}{R}}{G_0 + \frac{1}{R}} J_0$$

【例題2】ノートンの定理

下図の回路にノートンの定理を適用し、等価電流源を求めたうえで、抵抗 \(R\) に流れる電流 \(I\) を計算してみましょう。

端子 \(a,b\) の短絡電流 \(J_0\) は以下で与えられます。

$$ J_0 = \frac{E}{R_1} + J$$

開放コンダクタンス\(G_0 (= 1/R_0)\) は

$$G_0 = \frac{1}{R_1} $$

したがって、ノートンの定理より以下の等価電流源を描くことができ、求める電流 \(I\) は

$$ I = \frac{R_1}{R_1+R} J_0 $$

ノートンの定理の証明

ノートンの定理の証明には、重ね合わせの原理を用います。

内部に電源(電圧源や電流源)を含む回路網を \(N_0\)、含まない回路を \(N\) とし、端子 \(a, b\) で接続されているとします。

そして、回路網 \(N_0\)  の短絡電流を \(J_0\)とおきます。

ここで、 \(N_0\) と\(N\) の間に電流 \(J_0\)の電流源を接続した、下図の回路を考えます。

電流源を2つ置いたとしても、電流則より、回路網 \(N\)に流れる電流 \(I\) は変わりません。

したがって、上の回路は元の回路と同じ動作となります。

ここで、この回路について重ね合わせの原理を適用してみましょう。

一方は回路網 \(N\) 側の電流源を開放したもの、もう一方は他のすべての電圧源・電流源を短絡・開放したものです。

一個目の回路において回路網 \(N\) に流れる電流は、短絡電流が \(J_0\) であったことから、\(0\,\mathrm{A}\)になります。

したがって、二個目の回路において回路網 \(N\) に流れる電流は、元の回路のそれと等しくなります。

この回路を解析すれば、元の回路で \(N\) に発生する電圧及び電流を調べることができる、という訳です。

これがノートンの定理の証明になります。

参考文献

  • 榊米一郎・大野克郎・尾崎弘(1980)『大学課程電気回路(1) (第2版)』オーム社

-電気回路
-