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本記事の内容
本記事では、スカラーポテンシャルについて解説しています。
- 定義
- 存在条件
- 例題
スカラーポテンシャルとは
ベクトル場 \(\bm{A}(x,y,z)\) に対して、以下が成立するスカラー関数 \(\phi(x,y,z)\) を、\(\bm{A}\) のスカラーポテンシャル、あるいは単にポテンシャルといいます。
スカラーポテンシャルの存在条件
ベクトル場 \(\bm{A}\) がスカラーポテンシャル \(\phi\) を持つ条件は以下になります。
- \(\bm{A}=-\nabla\phi\) を満たす \(\phi\) が存在
- \(\nabla\times\bm{A} = 0\)
- 領域 \(D\) に含まれる任意の閉曲線 \(C\) について、\(\oint\bm{A}\cdot d\bm{s} = 0\)
- 領域 \(D\) の2点 \(P,Q\) について、\(-\int_P^Q \bm{A}\cdot d\bm{s} = \phi(Q)-\phi(P)\) となり、積分経路によらない値になる。
単連結な空間とは、その空間内の任意のループが連続的に1点に収縮できるような空間を言います。ひもで輪を作り、その両端を引っ張ったとき、どこにも引っかからずに結び目をなくすことができる、というイメージです。
ここでは厳密な証明は行いませんが、1. \(\rightarrow\) 2. に関しては、ベクトル解析の公式を用いることで容易に確認できます。
例題
ベクトル場 \(\bm{A}(x,y,z) = \bm{r} = (x,y,z)\) に関して、以下を考えてみましょう。
(1) \(\nabla\times\bm{A} = \bm{0}\) を示せ
(2) \(\nabla|\bm{r}|^2 = 2\bm{r}\) を利用して、スカラーポテンシャル \(\phi\) を求めよ。ただし、\(\phi(0,0,0) = 0\) とする。
参考文献
- 山本有作・石原卓(2020)『理工系の数理 ベクトル解析』裳華房