半導体工学

光導電効果・光起電力効果とは?何が違う?[バンド図で解説]

2022年2月13日

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本記事の内容

本記事では、光導電効果・光起電力効果について解説しています。

  • 光導電効果
  • 光起電力効果
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光導電効果

半導体に、その禁制帯幅 \(E_g\) 以上のエネルギーを持つ光(\(h\nu\geq E_g\))を照射すると、電子・正孔対が励起されます。

その結果、半導体の導電率が増加する現象を、光導電効果(photoconductive effect)といいます。

\(h\nu\) は光子のエネルギーを表し、\(h\) はプランク定数、\(\nu\) は光の振動数です。

図のように、電圧 \(V\) を印加したn型半導体を考えます。

電圧を印加しているので、半導体のバンド図は傾きを持ちます。

この状態で、禁制帯幅 \(E_g\) 以上のエネルギーを持つ光を照射すると、電子・正孔対が生成します。

生成された電子と正孔は、それぞれ伝導帯と価電子帯をドリフトして、電極に到達します。

その結果、流れる電流量が増加します。

光導電効果による電流の増加分は、光の強度が強いほど大きくなります。

光起電力効果

pn接合やショットキー障壁など、内部電界のある半導体に対して、その禁制帯幅 \(E_g\) 以上のエネルギーを持つ光(\(h\nu\geq E_g\))を照射すると、励起された電子・正孔対が内部電界により分離し、起電力が発生します。

この現象を光起電力効果(photovoltaic effect)といいます。

図のように、pn接合の半導体に対して、光を照射する場合を考えます。

禁制帯幅 \(E_g\) 以上のエネルギーを持つ光を照射すると、電子・正孔対が生成します。

生成されたキャリアは、内部電界によって、正孔はp型へ、電子はn型へ移動します。

その結果、半導体の両端に起電力が生じます。

光照射により生じた電流は、pn接合に順バイアスをかけたときの電流の向きと逆であることに注意してください。

光導電効果と光起電力効果の違い

光導電効果と光起電力効果は、どちらも半導体に光を照射したときに電子・正孔対が生成されることに基づく現象です。

では、その違いは何でしょうか。

光導電効果は、外部から電界を印加しなければ電流は流れず、光照射による電流の増加を確認できません。

それに対し、光起電力効果は、半導体に内部電界があるので、半導体自体が電力を供給します。

以下は、それぞれの違いを表にまとめたものです。

光導電効果光起電力効果
現象自由キャリアの増加
(導電率の増加)
起電力の発生
内部電界なしあり(pn接合など)
外部電源必要不要
利用例フォトセル(光検出器)太陽電池、フォトダイオード
光導電効果と光起電力効果の違い

参考文献

  • 松波弘之(1999)『半導体工学(第2版)』朝倉書店 pp.56-59

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